サーベイ・メソドロジー研究会 活動の記録 研究会(2005年) 2005-11-22 「ボランティアパネル型インターネットリサーチによる第44回衆院選直後調査結果報告」,出口慎二(株式会社インフォプラント RQI) [abstract] 目標母集団を東京都25〜59歳男女としたときに,この目標母集団と,インフォプラントのアクセスパネル(mpack会員)のうちの同属性(東京都25〜59歳)である集団を枠母集団として調査を行ない得られる回答者集団との特性比較を目的として,第44回衆議院選挙(2005年9月11日実施)のすぐ後にmpack会員を対象にインターネットリサーチを実施,選挙結果と比較した.なお,実際には,選挙結果は20歳以上の有権者の投票結果であり,20〜24歳および60歳以上の人の意見も反映されているため,設定したい目標母集団とは異なっている. 投票に行ったかを問う設問から投票率を計算すると,通常いわれるとおり,本調査においても実際の投票率を大きく上回る数字が得られた.ただし,本調査結果の投票率に,本調査の回収率を乗じると,これは,いずれの性・年代でも実際の回収率を下回ると考えられる値になった.つまり,「衆院選に関するアンケート」と題した本調査の結果得られた投票率の高さは,投票した人ばかりが本調査に回答し,投票しなかった人はあまり本調査に回答しなかったという仮説で説明が付く範囲を超えないものであった.また,本調査結果を年代別にみると,年代が上がるにつれ投票率が上がる傾向が見られ,実際の傾向を反映していると思われた.男女別では,本調査でやや男性の投票率が女性より高く,これは実際の傾向とは異なると考えられた. 本調査結果と実際の投票結果における各党の得票率を選挙区について比較すると,本調査でやや自民が少なく民主が高い,また比例区について比較すると本調査で民主が多く公明が少ないといった傾向が見られた.しかし,選挙区のほうが比例より自民,民主への投票が多く,公明への投票が少ないといった,選挙区と比例区の得票パタンの違いについては,本調査結果と実際の選挙結果間で良く類似していた. そのほか比較の対象はないものの,党首に対する選好や政治的リーダーを評価する際に重視する項目なども聞いたが,「小泉」に対する選好が高い群では「見た目」や「粘り強さ」を重視すると答える傾向があり,「岡田」に対する選好が高い群では「真面目さ」を重視すると答える傾向があるなど,常識的に納得できる結果であった.